累犯障害者
「累犯障害者」のレビュー・感想

【見捨てられた人々】
憲法には『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』
旨の記載がある。しかしこの著作には、その網から漏れ,
見捨てられた人々が厳然として存在していることが記されている。
それは,医療の網からも,福祉の網からも,行政の網からも,
警察の網からも,そして,家族という最低単位の保護からも漏れた,累犯障害者たちである。
実に暗澹たる気持ちになるのは,守るべきそれらの網が逆に作用していることだ。
医療は,閉鎖病棟という形で,彼らを,...

【彼の訴えることは知らないことばかりだった】
日本の福祉では、障害が重い人には、多大な金額を掛け、障害が軽い人には、さほどの金額が掛けられないのだそうだ。歩行やトイレ、食事などが困難な重い障害を抱える者を介護する労力は大きいため、当たり前の話といえば当たり前の話である。
筆者が今回中心ルポ、執筆したのは、歩行やトイレなどが困難な重い障害者ではない。トイレや歩行や食事は普通にできるし、日常生活も普通に遅れるが、軽度の知的障害があるという「軽度障害者」が、福祉からはずれ、社会からあぶれ、何度も軽犯罪(パン1個を盗む等)を犯し、行き場...

【障害者の犯罪はセーフティネット(福祉行政)がしっかりしていれば未然に防げる】
この本を読んで思ったことは、障害者の犯罪はセーフティネット(福祉行政)がしっかりしていれば未然に防げると言っても言い過ぎではないのではないかと思ったことだ。最後の章で触れていたが、日本人の2パーセントは何らかの障害を持って生まれてくる人の数だが、実際に障害者手帳を所持してる人がその数よりも大きく下回っている現実。早期に問題を発見し、対応をしていけば、もっと有効な治療方法や教育方法が見出せるのだが、著者が指摘するまではこういう問題は社会の恥部なのか、大手マスコミもひたすらに隠す事が物語るように...

【目をそらしても存在が無くなるわけでない】
「何をやっていたんだ!」
著者が最後に書いたこの一文にすべての思いが込められている一冊です。
今まで知ることの無かった知的障害者の受刑者の実態を垣間見た著者が、その根を深く掘り下げて白日の下に引きずり出した、知的障害者の犯した犯罪と、その当事者とその周辺事情について丁寧に書かれています。
普段は目をそらすことで当事者以外は知ることもない悲惨で(自覚が無い場合は特に)、救いのない中であがいているような事例が紹介されています。
その中にはマスコミも大きく(当初は)取り...
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